筑後地域における雇用創造事業として今年度からスタートしている「九州ちくご元気計画」。
その中のビジネス基本スキル研修事業の企画を担当しているが、企画した研修には、農業分野も含まれており、先日は農業研修の一環として、福岡県八女郡黒木町の、環境保全型農業と新規就農体験受け入れを実施している、山村塾への視察を行なった。
実は私は、山村塾への視察訪問は2回め。
前回は、環境首都を目指す北九州市環境局主催の先進地視察で訪問した。
これからの農業経営を組み立てる上で、環境保全の視点は外して考えることはできず、それをストイックに実践しつつ、さらにワークキャンプなどで多くの就農希望者を国内外問わず受け入れ、指導を続けている山村塾を、ひとつのあり方として、研修受講生に直接見て考えていただけたら・・・と思い、今回のカリキュラムにも組み入れた。
山村塾のある黒木町笠原地区は、棚田の広がる山間地である。
よって山村塾の活動も、棚田の稲作とその保全がメインとなる。
まずは耕作放棄されていた棚田を復元した圃場から、山を登った高地にある、野菜の露地栽培の現場、自家生産の堆肥工場、合鴨の小屋などを、農家の椿原さん、事務局の小森さんの案内で見学。
受講者の多くが、平地での農業従事者であるため、山間地での農業の苦労と、それをポジティブに捉え、メリットに変えていく工夫に、皆、感心していたようだ。
何ヶ所かを巡ると、あっという間に昼時に。
昼食はほぼ全て自給食材のビュッフェ。
シイタケや旬野菜の天ぷら、合鴨のサラダなど、田舎でしか食べることの出来ないご馳走である。
この日は特にシイタケが好評で、受講者の中にもシイタケ栽培をやっている方もいて、その辺りでも話は盛り上がっていた。
午後は車座での話題提供、ディスカッション。
信念を貫き、安心できる食を人々に提供するために徹底する山村塾〜椿原さんの姿勢に心打たれた。
私には、山村塾には、懐かしい昔の農家の姿とその精神が、現代にカタチを変えつつ引き継がれているように映った。
土地や天候、自然の猛威に生活を委ねつつ、自らの手で出来る工夫で、これまで何百年何千年と、人々は農業を維持し続けて来たのである。
そうした暮らしは、技術革新を遂げようとも、基本は変わることはないと私は考える。
効率化、大規模経営を否定するつもりはない。
人々が今の社会で物質的豊かさを享受するには、経済的成功が不可欠であることは、言わずもがなである。
自然に左右されにくい、科学的組織的な農業の追究や、付加価値を加えた商品の開発などは、大切な方向性だろうと思う。
しかし本質的なことは忘れてはならないとも思う。
ここで考えたいのは、数年レベルの短期的な対策や、目先の経済的利益追求ではなく、顧客の食と健康、安全安心を願っての生産と、それを通じて子や孫の世代にどんな地域や社会を引き継げるか、と言うことだ。
跡取りがいない、生活が厳しい・・農業の現状が言われる反面、都市圏を中心に、自給自足的農業を模索する若い層が急増しているのも事実。
昔から、そしてこれからも続く、里山の循環型農業を生業とする山村塾の取り組みを農家が見て、そこで得た気づきをどう自らの生産に活かすか・・・ひとつの方策へのヒントが、その先に見えてくるように思うのである。
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